小唄、端唄、長唄とはKOUTA,HAUTA,NAGAUTA
小唄、端唄、長唄はどこが違うの?
- 同じ三味線音楽なのに、どこか違う。いや、かなり違う。わかりにくいですね。
- このような疑問に答えるのはなかなか難しいのですが、ご参考までに、「日本文化いろは辞典」の解説をもとに以下にまとめました。
小唄とは
- 江戸時代末期に端唄から派生した三味線小歌曲で、演奏時間は3〜4分程度のものです。
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特色@ 粋な歌詞
- 小唄の歌詞は比較的短く、洒脱、皮肉、粋(いき)を重要としています。
- 極端に声を抑制する歌唱法は、熟練した技術を必要とします。
- 長唄、浄瑠璃など色々な方角の要素が入っているため非常に奥深く、うた沢(端唄に品位を与え芸術的な歌曲として、ゆるやかなテンポで重々しく演奏されるもの)と比べて、早間(はやま;速いテンポ)で唄われます。
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特色A 戦後に大ブーム
- 幕末に清元節(浄瑠璃の一つ)の中で用いられた短い歌曲が「小唄」の始まりと言われています。
- 小唄が本格的に確立されたのは、明治時代に入ってからで、大正から昭和にかけては家元も増え、戦後はさらに盛んになり、小唄ブームとまで言われるようになりました。
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特色B 三味線と唄による演奏
- 小唄の演奏には、中棹(ちゅうざお)三味線が用いられます。
- バチを用いず、爪弾(つまび)いて演奏します。
- 唄の間は三味線が決めてゆき、曲によって手の込んだ替手(かえで;唄をリードする本手とは違う手を引くこと)が入ったり、唄の後にオクリ(小唄独特の後奏)が付くなど、三味線が重要な役割を果たします。
端唄とは
- 江戸時代後期から幕末にかけて流行した当時の流行歌で、三味線小歌曲の一種です。
- 曲の長さは大体3分くらいの短い曲で、小唄の源流と言われています。
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特色@ 一般庶民の音楽
- 端唄の内容は分かり易く、季節の風景や、恋愛模様を短い曲の中に織り交ぜてあります。
- 旋律も唄い方も簡単で、リズムも凝ったものではなく非常に単純なので、一般庶民が直接楽しめる音楽として流行しました。
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特色A 庶民が生み出した端唄
- 幕末に、長唄などの劇場音楽を、一般庶民が自分で唄って楽しんだのが、端唄の始まりです。
- 1840年代には、端唄が大流行し、民衆に愛好される三味線小歌曲として大成しました。
- 小唄の出現によって、端唄は次第に衰退していきました。端唄は、一般庶民の娯楽の流行歌でしかなく、家元制度がありませんでした。そのため、代々受け継いでいく場がなく、衰退していったとも考えられています。
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特色B 唄と三味線による演奏
- 小唄のように三味線が唄をリードするものではなく、唄と三味線どちらも自由に自然な雰囲気で演奏されます。
- リズムや調子は規則的で非常に単純です。
- 小唄と同様、中棹(ちゅうざお)三味線を使って演奏します。
長唄とは
- 歌舞伎舞踊の伴奏音楽として発展した三味線音楽で、「江戸長唄」とも言います。
- 長編の歌曲として、現代でも歌舞伎音楽の伴奏として演奏されています。
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特色@ 派手でリズミカル
- 長唄は、唄の部分と三味線だけの部分に分かれています。
- 1曲の長さは、短いもので1〜2の曲から、長いもので50分以上曲もあり様々です。
- 歌舞伎の音楽として発達したので、派手でリズミカルなものが江戸長唄の特徴です。
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特色A 歌舞伎音楽として
- 長唄は、17世紀前半に上方からもたらされ、歌舞伎音楽として江戸で発展しました。そのころから、江戸の「長唄」と上方の「長唄」の性質が次第に異なってきました。
- 上方の「長唄」は盲人の手によって唄い続けられ、地歌として現存しているものがあります。
- 一般的に現在の「長唄」は江戸で発展した歌舞伎音楽「江戸長唄」のことを指します。
- 幕末になると「お座敷長唄」という純粋に演奏用の長唄が作曲され、明治には、歌舞伎を離れた長唄演奏が盛んになりました。
- このように、歌舞伎を離れた新しい趣向の曲が次々と作曲され、現在まで発展しています。
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特色B 三味線とお囃子で賑やかに
- 長唄の演奏には、唄と細棹(ほそざお)三味線が使用されます。また、賑やかなものになるとお囃子(はやし)も入れて演奏されます。
- 通常は舞台に向かって左が唄、右が三味線で、一列に並びます。大人数になると2列以上に並ぶこともあります。
- 唄も三味線も、真中から順にタテ、ワキ、三枚目…と呼び、一番端の人はトメと呼びます。
- タテの人が曲をリードする役割で、タテ以外の人達はタテに合わせて演奏します。従って、タテから一番遠いトメは、タテの奏でる音に神経を集中させ、タテの癖も知り尽くしていないと務まらないので、熟達した技術が必要です。